ファンタスティックビースト第三作感想

基本的には面白かったし、最後のバトルは万感の思いがあったけど、いくつか気になるところがありました。

 

①リーダーを選ぶのに謎の儀式に頼ってるの世界観の一貫性が怪しいのではないか?

魔法界は民主主義じゃないんですかね……?あと麒麟が出てくるの突然過ぎないか?近年のグローバリズムの中で、アジア的な概念にちょっと迎合してるのかもしれない。

 

ダンブルドアの秘密は若気の至りで結局隠し子がいたというだけなのか?

秘密としては浅くね?

 

③鞄を6個複製した(つまり7個あった)のに出てきたのは5個しかなかったけどどうなのか?

これは流石にミスやろ。

 

まあCGすごいし、魔法世界の雰囲気を楽しむものなので細部を気にしてもしゃあなし。

2022冬アニメ寸評

SSSS 明日ちゃんのセーラー服

A 天才王子の赤字国家再生術 スローループ 怪人開発部の黒井津さん

B ハコヅメ 東京24区 その着せ替え人形は恋をする

C CUE! プリコネ二期

D 賢者の弟子を名乗る賢者 リアデイルの大地にて

 

今期も全然アニメ見てないのであまり言えることはない。

明日ちゃんは脚本、演出、op、ed、声優さんどれをとってもケチのつけようのない出来やけど、多分一番自分に刺さったのは中学に(受験して)入学して世界が開けた原体験を明日ちゃんを通して追体験させられるところなんやと思う。

平家物語見れてないから見たいわねー。

日曜読書 切磋琢磨するアメリカの科学者たち―米国アカデミアと競争的資金の申請・審査の全貌

切磋琢磨するアメリカの科学者たち―米国アカデミアと競争的資金の申請・審査の全貌 | 菅 裕明 |本 | 通販 | Amazon

 

 

東大化学専攻の菅裕明先生が自身の米国での研究経験を踏まえて、2004年当時の米国科学界において科学者が教育・研究・予算獲得に関してどのような仕事をしており、それが米国の科学水準向上にどう寄与しているかを解説した書籍である。特に米国ではピアレビューによる切磋琢磨が科学研究の水準を高めていると本書では主張している。

日米問わずどの国でも研究者同士のピアレビューは行われるが、米国で機能しているピアレビューは一線を画すものであるようだ。

例えば、研究予算申請書について厳正なピアレビューが行われることで、米国の研究計画の質は維持されている。米国と日本では研究予算申請書に占める研究計画の分量が多く、日本では(科研費などの)申請書に占める研究計画の量は数ページ(5ページ程度)であるのに対し、米国(NSFやNIFなど)はその数倍以上の研究計画を執筆せねばならない。分量の多い研究計画となるとその内容について誤魔化しは利かず、その実現蓋然性評価のため論理展開の曖昧さやメインプラン破綻時の対応などが審査時には厳しく追及される。このように研究予算申請書に対して厳正な審査がある一方で、改善点についてのフィードバックが充実しており、それを踏まえて研究計画は一層洗練されて行く。個人的経験ではあるが、学振申請書(DC1)のフィードバックは集団内での相対順位に終始しており、具体性に欠けたものだったのは残念だった。フィードバックを充実させる意識が研究者コミュニティの中で醸成されているのだろう。このようにピアレビューが十分に機能することで、研究水準が担保されている。

本書が出版された背景には諸外国の制度を踏まえて大学制度が大きく改革された時期であったということが挙げられる。2004年に日本の国公立大学が法人化し、法人化に伴い国公立大学自治性が高まるため、特に個々の大学が経営を独自に行う米国の制度は注目されていた。米国の大学は研究者が獲得する研究予算から得られる間接経費を大学の運営に使用しており(まあ日本もそうだけど)、大学間で予算を獲得できる優秀な研究者の奪い合いが起きている。研究者も一定水準の教育・論文執筆・予算獲得を実現できなければ、パーマネントの職に就けず、任期付き職から脱するため日夜研究と学生の教育に勤しんでいる。おそらくは諸外国と比較して研究者に対する淘汰圧は苛烈だろうが、キャリアアップした際の報酬も大きい。

翻って日本については(2021年現在での結果論を述べても仕方ないのだが)、改革は失敗し、(分野ごとに相違はあれど)全体として研究者による科学論文執筆は質量ともに低下している。見かけだけ国公立大学に経営権がありながら、大学の基盤となる運営予算は現象の一途をたどっている。競争的資金については、選択と集中による予算配分の偏りに由来して、予算獲得競争に伴う研究の質的向上が健全に機能しているとはいい難い。研究者の立場で見てもパーマネントの職を得るための競争は他国と同様に厳しいが、米国のようなキャリアアップは目指せないだろう。大学院生についても選択と集中により一部の主要大学の特定分野にのみ予算が投下されており、学振などによる給料がなければ、学位取得までに経済的な面で数100万円~1000万円のハンデを背負うことになる。さらには就職後にそのハンデをペイできる将来像を描けない。彼我の差は大きいが、これらを改善していく当事者意識を持って行動したい。

博士後期課程に進学して三か月経って思ったこと

  • 論文執筆

遅筆過ぎる。執筆の習慣化に失敗してしまった。共著/主著が無限に発散してる事態ををなんとかしたいが……。卒業までにレター含む主著5本、共著20本を目指したいが、早くも敗北しつつある。

 

  • 学会発表

研究室メンバーや共著者らの支援により、修士課程での研究について運よく二度も賞をいただいた。とても嬉しい。学会発表一週間前から研究室での予聴会&発表資料のピアレビューを数度行うことによって質を担保できているのが奏功している。研究室メンバーが優秀で本当に助かっている。原稿も毎回用意しているのだが自分の喋りが300字/分であることがわかり、発表の繰り返し再現性が上がった。

 

  • 新しい研究の開始

新しく入ったB4の学生さんと一緒に新しい分析の立ち上げを行ってるが、あまり労力を割くことができないでいる。四月、五月は心身ともに体調が怪しかったのと、書類仕事&学会準備に追われたこともあり、ぼーっと過ごしてしまった。六、七月も既存の測定ばかりやってしまい、恥ずかしい限りである。ボスにも普段からお前は保守的だと茶化されている。修士の研究も共著者のみなさんの支えがなければ上手くいかなかったので博士課程では自立したいが、特け手を打てているわけではない。

一つ光明があるとすれば、B4の頃はできなかったある試料準備法を身につけられた(or手技が向上した)のは、本当にやりたいことをやる上で重要となるかもしれない。また、B4の学生さんとやってることについてもなんとか秋の学会に出せる程度にはまとめられそう。ここから年度末までは研究に集中しなきゃいけない。

日曜読書 Science Research Writing for Non-Native Speakers of English

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 修論を書いていた時期にボスに口酸っぱく言われたことは,「君の文章は文法的には正しいのだが酷く読みづらい.ちゃんと文章の書き方を日本語も英語も勉強しなさい」ということだった.いやこれは学部卒業の時期から指摘されていたけど自分があまり深刻に思ってなかった.そうこうしてたら博士課程に進学することになり,論文の数で殴り合う世界に来てしまった.博士課程ともなると文章執筆が苦手とは言ってられない.自分が筆まめでないのは古からなのだが,悪い文章を書いてることは書いてる端から認識できてしまう.結局添削してもらうにも遅筆過ぎて一層質が悪い.今現在もどんどんペンディングの原稿が溜まっている.

 というわけで論文執筆に関連しそうな本をざーっと読み漁った.有名な木下先生の「理科系の作文技術」はひたすら逆茂木型の文章構造はやめなさいということが一冊に渡って書かれていた.なるほど,日本語で文章を書くと陥りがちな構造である.ポール・J・シルヴィア氏の「できる研究者の論文生産術: How to Write a lot」は文章の書き方というよりは,どうやって論文執筆を習慣づけていくかについて重点が置かれていた.本書で記されているような習慣づけができたらなんでも上手くいくとは思うが,場当たり的な自分には到底真似できないという気分になってしまった(いや習慣づけろよ自分).

 そんな中で見つけたのがScience Research Writing for Non-Native Speakers of Englishである.本書はfor Non-Native Speakers of Englishと書いてある通り,平易な英語で非常にわかりやすく論文の構造や語彙について解説している.自分は系統的に文章の書き方を学んでいなくて,ただの猿真似だったのだと痛感させられた.系統的な知識なしに,ボスや先輩方を真似していても彼らを超えることはできない.母国語で論文を書くにあたっても本書は参考になる.学部生はTOEFLとかの勉強してる暇あったら本当にこれを読んでほしい(注1).実書籍だと検索能がなくて語彙を調べるのが難しいし,電子版の追加課金も検討したい.余談ですが,出版社勤めの友人もオススメしてました.

 英語論文執筆について古典的に有名なWilliam Strunk Jr.氏のElements of Styleにはまだ手を出せていない.某J. K.氏が著書の中で大変オススメしていたが,なかなか堅い英語なので読むのに骨が折れる.米国でキャリアを築くなら必要なのは納得である.

 

(注1)自分が文法的に合ってるけど的を射ない英文を書いてしまいがちな背景に大学受験勉強やTOEFLのせいなのは否めない.高校時分に帰って本書を読ませたい.

日曜読書 そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3.0の政治経済学

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三年前に話題になった本を今更ながら読んだ.

本書は日本経済にデモクラシーが欠如している点を指摘し,日本で”左派”と称される方々が経済成長を軽視している点について批判している.三年経っても日本の状況は変わっていないように思えるので今でも参考になる(欧州については政策トレンドが変容しているかもしれない).憲法原発など人道主義に関する議論に終始し,実際的な貧困層の困窮について解決を目指さない日本の”左派”の問題についてわかりやすく解説されている.

三者の鼎談形式で文章が進むため,注釈や引用が少なく,深掘りやファクトチェックが困難である点は気になった.この手の社会に関する議論を書籍化したものではやはり定量評価に言及するのは困難に見えるし,皆がお気持ち表明してるように見えてしまうのは難点である.

 

いくつか気になったところや考えたこと

・成長戦略は必要か?緊縮財政or金融緩和?

完全雇用が達成されている場合は構造改革等を通した生産性の向上が必要だが,不景気でそれが未達成の場合は雇用の更なる不安定化を招く.完全雇用が未達成であり,経済成長の天井に到達していない場合は財政出動が必要があるが,現実には緊縮政策がとられている.特に日本は自国の中央銀行を有し,強気な財政出動が可能であるので,緊縮路線はやはり問題のように見える.MMTに代表されるこのような意見については,通貨の国際的信用が堕ちる限度がどこにあるかの定量評価がカギとなるように思えるが,そこまで勉強するのは疲れるのでやめた.

 

・英国のBrexit支持層について

長年の緊縮政策により打撃を受けた貧困地域ほどBrexitへの支持は厚かった.正直なところBrexitにより貧困層の暮らしが良くなる気はしないけど,都市部の中流以上の層に対するアンチテーゼとしての意味合いは大きいのだろう.

これは無根拠なお気持ち表明なのでただの備忘録だが,日本において大阪都構想への不支持・支持は大阪市内の南北で別れたのは英国と類似構造なのではないかと思う.大阪南部の比較的貧困な地域では公共事業等のコスト削減が叫ばれる都構想に反対し,富裕層の集まる北部では都構想案は人口に膾炙する.都構想の住民投票は過去二回ともに僅差で否決されているが,その様を北部の人間が見て南部の人間を無教養だと冷笑する構図も見受けられる(これは本書中でも言及のあるチャブ差別の構図とも関連がありそう).そもそも都構想の本質は公共のコスト削減にはないと思うのだが,現実的にそうなってしまってるのは三十年来の緊縮政策に染まってしまった人々の妄執のせいなのかね……(これも無根拠なお気持ち表明).

 

・「選択と集中」に際しての権限の非対称性

・日本の"左派"の経済議論への忌避感・リベラル層のバラマキへの忌避感の根幹はどこ?

 

 

 

Ubuntu 20.04 LTSにUSB式のwifi子機を取り付ける

新年度になって研究室のデスク移動があり,デスクトップパソコンにつないでいたケーブルが有線LANの根元に届かなくなりました.しかもパソコンのOSがUbuntu 18.04ですので,市販品のwifi子機がうまく動くかわかりません.今までは有線でいいやって思ってたので無線が繋げない問題をずっと放置していたのですが,いよいよ厳しくなってしまいました.

まずUbuntu対応のwifi子機について調べてみると,ちらほらと日本語のウェブページでも記述がありました.

qiita.com

 

どうやら,TP-LinkのAC600ナノを使えば大丈夫らしいということが分かりました.

www.tp-link.com

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早速参照ページにしたがって取り組みます.

下記githubにドライバが上がっているので,まずはそれをgit cloneで引っ張ってきます.

github.com

githubに上がってるREADME.mdの手順に従い,dkmsのインストールと,ドライバのインストールを行います(下記コマンド).

sudo apt-get install dkms
sudo make dkms_install

ここで問題が発生しました.UEFIセキュアブートが機能しており,あやしいドライバを入れるのであればMOKキーを設定してUEFIセキュアブートの画面で同様のMOKキーを入力し,管理者であることを証明しろと言われました.このパソコンはもともとWindows10が入っていたものにUbuntuを入れ,Windows10を消去したものなので致し方なしです.

再起動するとUEFIセキュアブートの画面になりました.しかし,UEFIセキュアブートの画面ではUSBキーボードを認識しないせいでMOKキーの入力ができません.詰みました.普通に起動してlsusbのコマンドでwifi子機を認識しているか確認すると,やはりwifi子機がやはり認識されていません.

お手上げ状態で新しく着任したポスドクの先輩に相談したら,先月同様のwifi子機を導入したとのことで,とりあえずUbuntuをLTS 18.04から20.04にアップデートしたらいいのではアドバイスをいただきました.

こういう経緯でUbuntuのアップデートを行いました.半年ちょっと前に最新版のLTSがリリースされており,ものぐさなので放置してましたが,こうなっては仕方ないです.アップデートの前にはきちんとSSDのバックアップを取りました.バックアップを取ってアップデートするのに3時間くらいかかりましたが,無事(環境が破壊されず)アップデートに成功しました.アップデート前にgoogle chromeがバグっておりsudo apt-get upgradeが通らず,OSのアップデートを妨げていたので,google chromeさんには退出していただきました(Ubuntuからlineにつなぐ方法としてchromeが実は楽だから導入していた).
さて,ふたたびwifi子機ドライバの導入に取り掛かります.ドライバなしの状態でもlsusbでwifi子機を認識していました.これはかなり良い予感がします.うきうきしながら上記コマンドを使って再度導入するも,やはりUEFIセキュアブートが立ち上がってしまいました.ここで最後の手段としてBIOS起動(cmdからsystemctl reboot --firmware-setupのコマンドでBIOS起動が可能)してUEFIセキュアブートを一時的に停止しました.その後ドライバを再インストールし,再起動すると,無事wifi子機を認識し,wifi接続に成功しました.

とても疲れた.